カテゴリ
以前の記事
お気に入りブログ
the borderland just do it☆d... mayocoはどこへ らりんワールド 日々動食 「不承不承」が読めず、不... けちけちオヤジのお気楽ダ... 軍配は東 七月のうさぎ(休止中) minorugged o ri on 直日 ゆかいなまー usutinaろ白書 ライフログ
検索
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
アルバイトが終わり、天神駅のホームに着いたとき、時計の針は20時13分をさしていただろうか。
僕は一番はやく大橋駅に到着する電車に乗り込み、空いている席に座る。 僕が乗り込んだ車両は大橋駅に向かう側から2両目で、座った席は真ん中のドア付近にあった。 電車の中ではいつも音楽を聴くか、本を読むようにしている。 電車が発車する前、僕はiPodの電源をonにした。 なにを聴こうかとグルグルまわすものの、相変わらず曲数が少ない。 迷ったときの僕のセオリーは、ミスチルかスピッツだ。 彼らはこのiPodのなかで多数派だからだ。 スピッツの『冷たい頬』をセレクトして少しして、電車は動き出した。 電車が平尾駅を出だし、曲目が変わる。 "あ~ 心がしおれそう あいたい もう待てない これ以上待てない そして今日もまた眠れない" 曲名は知らなかった。 ただ、このフレーズを聴いたとたん、僕の頭の中はふくちゃんラーメンのことでいっぱいになる。 今夜ふくちゃんラーメンを食べたい。 大橋駅を出て、近くに止めていた自転車に急いで乗りこみ、家に向かう。 このとき僕は、両耳に流れこむ曲には興味がなくなっていた。 ただ、風が容赦なく僕の着ているものを冷やしていく感覚だけ憶えている。 家に着いたのは僕の腕時計で20時32分。 とりあえず、必要なことと、月9のビデオの予約だけをして、すぐに家を飛び出し車に乗り込む。 シルバーのeKワゴンはすっかり冷えきっていた。 エンジンをかけて、左下に目を落とすと"20:37"という数字が点滅している。 このとき僕は、ここからふくちゃんラーメンまで最速で20分だということを知っていた。 最初の赤信号で店に連絡を取り、21時まで店が開いていることを確認する。 その後、店までの道のりと点滅する時計の関係は僕が思い描いたとおりだった。 店に着いたのは20時56分。1分記録を更新していた。 店のドアを開くのと同時に、「いらっしゃいませ~」の声が聞こえた。 まず右に目をやると、どうやらチャーシュー麺は終わっているようだった。 僕はこの店で一番気に入っている席、店の人がネコ前さんと呼ぶ、カウンターの一番右の席につく。 お客さんは僕以外に、テーブル2に女性の二人組み、テーブル1に広島から来た6人の客がいた。 「大盛とめしを。」 チャーシュー麺が終わっていたため、僕は迷うことなくそう発した。 「かた麺で、漬物なし?」 お店の人は僕のことをわかっているかのようにそう聞いてきて、僕はそれに一つうなずいた。 今日のクライマックスまでもうそう遠くない、ラーメンがつくられている間、僕はそう思っていた。 カウンターの向こう側では残りの麺のかたまりの数を数えているみたいだった。 明日は休みだから残り少ないようだ。 僕は、3代目の片手を広げた5本の指で残りの麺の数を把握する。 と、そこで"ガラガラ"という音が背中の後ろから聞こえてきた。 二人組みの男性が入り、カウンターに座った。 「かた麺の大盛2杯!!」 ラーメンとご飯が僕の前に運ばれたとき、その言葉は僕の左から発せられた。 正直、僕は焦った。 今日のこのパターンは必ず替え玉までいくだろうと思っていたからだ。 残りひと玉、他の客に先こされたらどうしようか。 替え玉のキープをしようか本気で迷う。 しかし、フェアな僕にとってこのひと玉を自分のものにする手段は早く食べること以外になかった。 おそらく4分20秒という時間の間だと思う、相手のわからない勝負を必死に続けた。 「かえ、かた一つ。」 ちょっとやけどさせた舌で、僕は申し訳なさそうにそう発した。 それはラーメンを食べているときよりも満足感を感じる瞬間だった。 それから、至福の一杯をゆっくりと味わい店を出たとき、腕時計の針は21時13分をさしていた。 "今日の 私のごちそうは 一杯のラーメンと 空の色" この後、僕は自宅のバスルームにて腹部のある異変に気づくことになる。 本日の体重 63.3kg[1.9kg増]
by mikaku33
| 2006-01-09 23:27
| 日常
|
ファン申請 |
||